稲作民俗の源流Folk customs of rice growing in the world       

     神々の島・バリ島  小泉芳孝   
バリ島民の約65%は、農業で生活している。
バリの農業は、火山の涌き水を利用し、棚田の二期作が可能であり、水の利用出来ない高地では、コーヒーやバナナをはじめ、野菜や果物などの畑作が行われている。  

バリのヒンドゥー教は、インドの神像崇拝とはちがい、神が降臨する石の座があり、普段は天空にいて祭りの時に寺院に降臨してくる。
                 
             
 

            神饌とバロン

    


    頭に神饌を乗せ
        寺院へ運ぶ女性                                                                                                                

 
     祭りの行列(後方は司祭者)      祭りの行列(手前は香、後方はチリ)

  

バリ村人の寺

1.プラ・プセ寺院(村の起源寺・村の神を祀る)
2.プラ・デサ寺院(村の地域共同体の寺院)
 プラ・バレ・アグン寺院(プラデサに昔風の集会所がついている場合)
3.プラ・ダラム寺院(墓地に建てられた死者の寺・死と火葬の神々を祀る)    

各寺院は、ほとんど右記のような配置になっている。
一番外側の門を「割門」といい、その外側に「くるくる」という高い塔がが立ち、木の太鼓がぶら下がっている。この太鼓は,村人に色々知らせる時に使われる。
奥の中庭へ入るためには、「パドゥラクサ」という大きな儀礼門がある。
奥には、バリ・ヒンドゥー教の沢山の神々が座している。

寺院の配置図


         バリ寺院の全景


バリの民家
バリの民家には、必ずアグン山の方向に屋敷寺があります。
毎日、女性がこれらの屋敷寺やその他の所へ、供物をお供えします。
屋敷寺には、色々な神が祭られています。この屋敷寺は、バリが「神々の島」であるというあかしでもある。

火山島であるカルデラ湖
バリ島が火山島であることを印象付けるカルデラを見る為には、、キンターマーニ高原を訪ねます。そこは大きなカルデラ湖を背景に壮大で大変美しい景色が見られ、ちょっと違ったバリ島を見ることが出来ます。
その麓には、霊峰アグン山をバックにして建つバリヒンドゥー教寺院の総本山であるブサキ寺院がそびえ立っています。


バリのお祭り
  バリ寺院の入り口    

寺院の供物(チリ)

   子供のバロン(日本の獅子舞)

子供ガムランの演奏に合わせて「バロン」が子供達のみで、日本の獅子舞のように町を歩き回る。
これは、中国の伎学獅子と同じであり、日本の獅子舞と考えられ、五穀豊穣や悪魔祓それに疫病除けの役を担っている。
 日本の奈良、大和神社の「ちゃんちゃん祭り」で行われる、雨乞い神事に登場する「l龍頭」も、子供達らで演じられており、同様のものと考えられる。


     バリの芸能(ケチャ)


    昔のバリ島は風葬が行われていた

バリは、火葬儀礼で有名ですが、ふるくは、風葬が行われていました。
現在でも、それを行っている村があります。

        バリ古来の風葬

バリ島の火葬儀式

火葬の行列は,上記のような火葬塔(バデー)を沢山の村人により担がれて火葬する所まで運ばれる。
かつがれた輿は、各辻々で三回まわされる。
これは死者に家の方向をわからなくさせる儀礼で、魂が家に戻らないようにするためだと言われています。
また三回まわるのは「リン・ラン・ロン」という生起・存続・終滅の原理を象徴するとも言われている。
日本でも土葬の時に、墓地で儀式をする前に三回輿をまわして石の蓮華台におく時に、同様のことが行われている。


      バリの火葬塔(バデー)


バリ島あれこれ

気候
 年間の平均気温は24〜35℃です。しかし平均湿度は78%のため大変蒸し暑いため正午にホテルへ帰ってシャワーを浴び午後の観光に出向いた方が良いようです。
 4月から10月頃までが乾季で、11月から3月頃までが雨季に当たりますが、熱帯の気候の為時々スコールがあります。雨季は1日に数回スコールがありますので、ビニールの携帯カッパや折りたたみの傘などがあると便利です。
 マリンスポーツやダイビングなどのメッカです。日本人が経営しているツアーもあります。

服装
 年間を通じて、基本的には日本の夏服(Tシャツなど)で十分です。
寺院に入るときは、半ズボンやミニスカートは絶対に禁じられ、サロンと呼ばれる腰布を身に着けなければなりません。サロンは市場などで安く手に入りますし、大きな寺院では貸し出しをしてくれるところもあります。お祭りをしている時は、現地の人の許可を取ってから寺院に入らねばなりません。

行事と祝日
 バリにはサカ暦・ウク暦という2つの暦があり、宗教的な祝日のほとんどはウク暦に従います。
サカ暦は太陰暦を基礎とした日数設定です。また、ウク暦の1年は210日なので、宗教的な祝日は毎年日付が異なります。現地の人もこの暦を中心に行動します。

ニュピ(日不定)
 サカ暦のお正月です。ニュピの前日は、怖い形相の人形を掲げながら外を練り歩きます。
ニュピ当日は仕事、外出、火を使うことなどが禁じられ、バリの人々は、家の中で静かに過ごします。
町中のお店もお休みとなり、観光客も外出ができませんので最悪です。

ガルンガン(日不定)
 ウク歴の祭礼で、日本のお盆のような日です。すべての神々と祖先の霊が帰ってくると言われています。
村々では、道路の両側にペンジョールという竹飾りを入り口に掲げ、寺院で祈りを捧げますので、色々な寺院でお祭りを見ることが出来ます。

クニンガン(日不定)
 ガルンガンの10日後に行われ、神々と祖先の霊を天に送り返します。

詳細は下記の京都民俗学談話会誌の「京都民俗」を、お読みください。


上記内容の詳細は、下記の本で御覧になれます。

 「稲作民俗の源流―日本・インドネシアー」

題名『稲作民俗の源流―日本・インドネシアー』自費出版!         
   ※お問い合わせは、ここへメールをお送り下さい。

お読みになった方からメールをいただきました。
 とても中身が濃く、何度もまだまだ読み込める可能性を秘めた素晴らしい御本です! 
 御本の中にもありました「先祖と一体になる」という言葉!素晴らしい表現ですね。
 これは「感謝」の枠を超えた人生観であり、宇宙観であり、哲学だと感じました。


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